真空管つれづれなるままに(#4)

 沼津に釣りに行くようになってもう10年になるのだが、どうやら駿河湾は年によってある種類の魚が異常に繁殖するようである。例えばある年はタコばっかり釣れるし、ある年はアイゴ(バリ)ばかり、またカサゴばかり釣れるという嬉しい年もあった。しかしまあ、本命のクロダイが以上繁殖する年というのはまだ残念ながらあたった事がない…。
 
 なんでこんな事を書いたのかと言えば、秋葉原の真空管も時期によってある種類の真空管が妙にはびこったりするからなのである。いつぞやは中国製のゴールデン・ドラゴンがあちこちで売られていたし、もともとJJテスラという名前だったチェコ・スロヴァキア製の真空管がチェコとスロヴァキアに泣き別れ。JJとテスラという2つの会社に分かれてその両方がやたらに目に付く時期もあった。前々回行った時にはスヴェトラーナがやけに多かったのだが、今日はなんだかロシア製のムラードがはびこっている予感がしていた。

 秋葉原に着いてまずは遠くにあるおばちゃんの店に歩いて行く。萌え〜の店を横目で見ながら歩く事約10分。ようやく着いたビルの階段を4階まであがると、ガ〜ン、店は閉まっているじゃあないの。入り口に営業日カレンダーが貼ってあったのだがどうやらここは基本的には土日しか営業していないようなのだ。失意のうちに駅付近に戻ると、僕はまずラジオ・デパートの中へと進んでみた。

 いつもわりと夕方遅い時間に行く事が多い僕、今日は珍しく早く行ったのでいつもやっていない店がやっていたりする。おかげで一度も開いているのを見た事がない店にも行く事ができた。初めて行ったその店で僕はツイードのスーツを来た品の良い老人の店員さんに「今、EL34て何がありますか〜?」と恐る恐る聞くと、店員さん非常に感じ良く「うちはずっとテレフンケンだよ。他の店はどんどん値上げするけど1本¥2800でやっているんだ」との答え。確かテレファンケンてけっこう高かった気がする。1本¥2800なら安いなあ。ここでもう買ってしまおうかなあとも思ったが「もう1周してきます」と告げて他の店も見てみることにした。

 まずは品の良いお兄さんのやっているお店に行ってみた。同じ質問をしてみると「今はソヴテック、スヴェトラーナ、あとはテレフンケンだねえ」との答え。オーディオ・マニアの人達は大体テレファンケンではなく、テレフンケンと発音するのが本格的っぽくて良い。フィル・リノットじゃなくてフィル・ライノットとか、そういう感じである。しかしさっきの店よりもちょいと値段がお高いのでここはパスさせてもらった。ちなみに前回も見たオリジナルのムラード4本セット未使用品¥120000なりはまだ燦然と輝いていたのには笑ったが。

 ところでこの中にはもう1軒、昔ちょうどゴールデン・ドラゴンが手に入りにくくなったときに知り合いと一緒に行って、その知り合いが「ゴールデン・ドラゴンありますか〜? 」と聞くと「ゴールデン・ドラゴン? あんなの真空管じゃないよ。うちはおいてないよ」という強気の答えが帰ってきた敷居の高い(!?)店があるのだが、次は恐る恐るそこに行ってみた。するとどうだろう! またもやテレファンケン、いや、テレフンケンが売っているではないか。しかもこちらはペアで¥4500、ということは4本買っても1万円でお釣りがくるわけだ。う〜ん、とうなりながら他の在庫を見てみるとしっかりゴールデン・ドラゴンも在庫している。しかもスヴェトラーナには御丁寧に「真空管アンプの王様マーシャルの純正真空管! 」などとポップまで付いているのだ。確か昔この店で僕は「シーメンスありますか〜?」と聞いたら「何に使うの? 楽器のアンプ? そんなのシーメンス使っちゃもったいないよ」などと言われいや〜な気分になったはずである。う〜ん、時代は変わったものだ。

 しかしここでテレフンケンに決めるわけにはいかない。というのは最近僕がよく使っている真空管を買うとお菓子をくれる店をチェックしていないからなのだ。信号を渡ってその店に行く僕。「マグノヴォル付けてどんな音だったかわかったら教えてね〜」と言っていた鼻毛ふさふさのおじいさんに会うのがけっこう楽しみだったりしたのだが、彼は遅番なのか曜日が違うのか、考えたく無いが体調が悪かったりするのか、違うおじいさんが座っていた。敢えて同じ質問はせずにEL34何があるかな〜と横目でチェックすると、前に鼻毛おじいさん(失礼)が言っていたロシア製のムラードがしっかり4本セットで売っている。お値段は¥12000。オリジナルのムラードにくらべると実に10分の1の値段である。他の在庫を見てみると、おやおやあるある、しっかりテレフンケンも置いてあるのだ。

 結局いつものおじいさんが店員じゃなかった事や、昨日開けてみてテレフンケンが入っていた事に驚いた事、どこへ行ってもテレフンケンの中古がある事などを加味して、今回はテレフンケンを買ってみる事にした。しかもお菓子をくれる例のお店よりもさらに安かったので、その前に行ったちょっと癖のある店で購入したのだ。

 それにしても最近は再生産なのかなんなのかかつてはちょっと手の届かなかった真空管がわりと安く売っているのは嬉しい。まあとはいえ、沼津のクロダイと一緒で、なんでだか本命の(僕が今まで使った中で一番気に入っている)シーメンスが異常発生した年には、僕は未だにあたった事はないのだが…。
Commented by かいじゅうぶよ at 2005-04-30 08:22 x
鼻毛おじいさん(笑)(^^)戻ってきてくれるといいですネ(^^)京都の時、ちょっぴりだけリョウさんに真空管とかのお話がきけたのがすごくうれしかったナ♪ライブや日記や機材のこととかほんとはももっともっといっぱいお話を聞きたかったんですけど、なんだか背を向けられている(?)気がして、あんまり話しかけられるのイヤなのかなあ・・?って、勇気がなくなっちゃったのです(^^*)でもお話しできなくてもこうして日記で読ませていただけるだけでとっても楽しいからいいです♪また楽しみにしていますネ(^^)
by ricken4001s | 2005-04-19 23:41 | 音楽 | Comments(1)